2012年に日本橋三越で開催された桂盛仁の個展図録。
全30ページにわたって 伝統技法である打ち出しや各種象嵌、色上げで作られた作品は鑑賞するのも楽しく、この道を志す者にとっては貴重な資料です。
細部の細かさや質感、色は図録で丁寧に再現されています。彫りの美しさも必見です。
夏櫨(なつはぜ)帯留金具
夏櫨(なつはぜ)帯留金具
四分一を打ち出し、緋銅と青金で葉を表し、赤銅で夏櫨をあしらったもの。
青金の鏨の打ちの柔らかさは桂盛仁ならではのテクニックで、奥にある葉の青金の形態を裏葉といい、これも桂一門に代々受け継がれている表現方法の一つです。
露虫 香盒
四分一に金を溶かしこみ、斑と呼ばれる肌合いを持つ四分一に青金で虫を象嵌したものです。
背や腹の打ち出しの繊細さは図録で見事に再現されています。細い触角や足も全て高肉の象嵌にも関わらず打ちの乱れが見られず、象嵌の周りの仕上げが丁寧で繊細です。
図録には虫の香盒が7点掲載されおり、螺鈿も取り入れた新しい創造の模索のものも掲載されています。
想 香爐
四分一と云う日本独自の銀合金の一枚板で高く鹿を打ち出したもの。
この四分一の打ち出しは桂盛仁だけが手がけたもので、硬く加熱すると脆く崩れてしまう四分一をここまで打ち出し、造形も美しく表情が出せるのは驚嘆するところであります。
香爐の本体は桂盛仁が得意とする、ケシ象嵌と呼ばれるもので彫ったり打ったりして凹ませた所に金鍍金を何度も施して象嵌したものです。
雨蛙 香盒
赤銅の5分差という金属は古来より烏の濡れ羽色と称され、奥行きの深い濡れたような濃い青は赤銅の中でも特に美しい色をしています。
その赤銅に青金で葉を平象嵌し、さらに金の含有率を変えた青金で雨蛙を肉象嵌してあります。
葉も蛙も広い面積で象嵌されていますが金蝋での溶着は一切してありません。
桂 盛仁 彫金の世界(図録) 詳細
販売価格 | 2,200円(税込) |